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2020.04.30

歯周病が発生するしくみとリスク

歯を失う一番の原因はなんでしょう?」――患者さんにこう問いかけると「むし歯」「外傷」「加齢」などといった意見を聞きますが、実はそのどれもが一番の理由ではありません😅

歯を失ってしまう原因のワースト1は「歯周病」で、おおよそ半数(約40%)をしめています。

その次が「むし歯」で約30%です。

「むし歯と歯周病」この2つの疾患によって、実に7割近くの方が貴重な歯を失っていますが、この敵が非常にやっかいなのです。

■「無自覚・無関心」これが歯周病のリスク

なぜ、私がやっかいだと考えているか?それは患者さんが歯周病に対して関心が薄いからです。

患者さんによく「むし歯はないですか?」とは聞かれるのですが「歯周病になっていませんか?」と聞かれることはほとんどないです。

久しぶりに来た患者さんの歯周病が予想以上に進行していた、しかし患者さん自身は「なんの症状もなかった」と仰っている……こんな出来事は決して少なくありません。

なにも患者さんを責めているわけではなく、それほど「初期の歯周病は無自覚に進行することが多い」といいたいのです😀

歯周病はごくありふれた感染症であり、ギネスブックにも「世界で最も罹患している人が多い感染症」と認定されているほどで、成人した方の8割が歯周病または予備軍ともいわれています。

このように「患者さんの認識」と「歯周病の実態」の間に、大きなへだたりがあることがリスクだと考えています。

■歯周病になるしくみとは

歯周病が発生するしくみを簡単に説明します。

歯周病菌が歯と歯の間のすき間(歯周ポケット)に入り込むことで、私たちの身体は歯周病菌を「異物」とみなして、菌をやっつけようと戦います。

しかし、あまりに菌が多いと今度は身体自身が菌から逃れるために、顎の骨(歯槽骨)を溶かす細胞を働かせてしまいます。

これが歯周病菌で顎の骨が溶けてしまうしくみです。

■歯周病は初期段階ほど治療の効果がある

歯周病の進行度を大まかに言うと「初期」「中度」「重度」の3つに分類されます。

このなかで歯周病治療の成果をあげやすいのは、歯周ポケットも浅く、歯の骨もグラグラしていない「初期の歯周病」です。

なぜならば、歯周病で失った顎の骨はもとに戻らないからです。

分かりやすく歯周病を家づくりに例えてみますと、基礎(顎の骨)があまりない状態で無理やり家(歯)を建てたところで、建物は安定しませんよね。

いくらきれいなかぶせ物や入れ歯を入れても、それらを支えている土台である顎の骨がすくない状態だと、台無しになってしまう恐れがあります。

また、やわらかい汚れの歯垢であれば歯磨きで落とすことができるのですが、歯石は歯磨きでは落とせません。

歯垢はたった2日で石灰化して歯石へと変化し、毎日ていねいに磨いている方でも2割は磨き残してしまうといわれています。

歯石は大変粗い構造になっており、歯周病菌や虫歯菌が非常に吸着しやすく、歯石がついてしまった歯はいわば「細菌のすみか」になっています。

これらの理由から、当院は3~6カ月ごとの定期検診と歯石除去をおすすめしています🙏

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