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2021.03.31

笑気吸入鎮静法の特徴と安全性について

歯周病とはどういう病気?

こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀

歯の治療は誰にとっても抵抗感を抱くものです。

患者さんにとっては何をされるのかわからないし、苦しそうだし、口をずっと開いていなければならない。
そして何よりも「歯医者=痛い」というイメージが未だに定着し続けています。

そんな歯の治療にまつわる不安や恐怖心を軽減し、楽にしていくのが「笑気吸入鎮静法」(しょうききゅうにゅうちんせいほう)です。

笑気吸入鎮静法とは

笑気吸入鎮静法とは、副作用が非常にすくない安全な鎮静法のことです。
笑気と高濃度酸素が混合された笑気ガスを鼻から吸ってもらうだけで、鎮静状態が得られます。

実際に笑気吸入鎮静法を体験された患者さんは「うっとりした気分になった」「うとうと眠ったような気持ちで治療を受けられた」といった感想をいただいています。

笑気吸入鎮静法は安全なのか?

「鼻からガスを吸っても大丈夫なの?」「身体に影響はないのか」といった質問をよく受けます。
結論から言いますと、笑気ガスは治療後30分以内に体外からスピーディーに排泄されてしまうので、副作用が非常に少ないです。

呼吸器や循環器にほとんど影響を与えることなく、肝臓にも負担をかけませんので肺や心臓に障害を持っている患者さんにも適用できますし、数分休んだあとはすぐに車の運転などもおこなえます。

もちろん、笑気吸入鎮静法を安全に受けていただくためには、治療前後のバイタルチェック(血圧・脈拍数・動脈血酸素飽和度など)は欠かせません。

当院では適時モニタリングをおこない、よりリラックス効果が高まるように細心の注意を払って治療していきますので、どうぞご安心ください。

笑気吸入鎮静法に向いている人・向いていない人(禁忌症)

ここまで解説してきましたが、笑気吸入鎮静法は適用できる方とそうでない方(禁忌症)がいます。

笑気吸入鎮静法が向いている人

・不安感や恐怖心の強い方

・血圧の高い方や心臓に病気を持っている方

・口の中を触られると吐き気を催しやすい方(嘔吐反射の強い方)など

笑気吸入鎮静法が向いていない人

・鼻づまりなどで鼻呼吸ができない方(鼻から笑気を吸うからです)

・妊娠されている方

・喘息など呼吸器疾患のある方

・体内に閉鎖腔のある病気の方(中耳炎や腸閉塞、気胸など)

・過換気症候群の方

・パニック障害の方など

今回は笑気吸入鎮静法が副作用のすくない安全な治療法であることをご説明していきましたが、それでも「笑気ガスを吸うのは抵抗がある」という方は、別の方法も検討・ご提案しながらオーダーメイドで治療計画を立てていきますので、お気軽にご質問してください。

2021.03.22

二段階麻酔法|痛みを回避する手法とは

こんにちは、ユキデンタルオフィスの小場です😀

「注射」というワードが出てきただけで、拒否反応を示す患者さんは実に多くいらっしゃいます。

私自身も歯科医師になる前は麻酔されることがとても苦手だったので、麻酔に対してご不安な気持ちを持つ心情は十分に理解しているつもりです。

しかし、残念なことに歯科治療で痛みを抑えるために麻酔をすることは避けて通れません。
だからこそ、当院はできる限り麻酔の痛みを回避できる心配りを大切にしています。

前回のブログ「歯科恐怖症には、2つの「ない」を目指す」でもすこし触れましたが、今回は、具体的な麻酔の痛みをすくなくする方法をご説明します

なぜ痛みを抑えられる?二段階麻酔法とは

痛みを回避する麻酔方法としては麻酔針の痛みを和らげるため、2回に分けて患部を痺れさせていく「二段階麻酔法」を採用しています。

そもそも、なぜあんなにも麻酔の針は痛いのか?というと麻酔針を刺す際の「チクッ」とした痛みが原因です。

したがって、注射の針を刺す前の行程から痛みを感じにくくするように、針を刺す部位に対して、あらかじめ「表面麻酔」と呼ばれる処置を施してから麻酔をおこなうのです。

表面麻酔とは歯ぐきに塗るタイプのお薬のことで、あらかじめ患部に表面麻酔を塗布して、数分~10分程度じっくりと浸透させることで、歯ぐきの知覚を麻痺させるのです。

もちろん、表面麻酔に関してはまったく痛みを感じませんのでご安心くださいね😀

痛みをおさえるためにはテクニックも大切

ほかにも痛みを回避する工夫がありますが、皆さんは何であると想像しますか?よく効く麻酔を使うことでしょうか?それとも、最新の器具を使うこと?

これら器具や薬剤も、もちろん大切ですが1番肝心なことは「丁寧に麻酔を打つこと」です。

痛くない麻酔のテクニックとしては「麻酔針を打つ場所・薬剤を注入するタイミング・一定速度で麻酔を打つ」これら3つの工夫を取り入れて、針を刺すときの痛みをできる限り減らしていきます。
具体的には術者(歯科医師)の指先の圧力がかからないように、針を患部に「置く」ようにして刺していきます。

ほかにも、一気にどっと注射液が入ってしまうと圧力は高まり、痛みが増してしまうので「そーっと」麻酔液を注入する技量も必要です。

個人差はありますが、患者さんのなかには「何かが触れたような感覚だけで、麻酔の痛みは感じなかった」とおっしゃっていただけたケースもすくなくありません。

2021.02.26

歯科恐怖症には、2つの「ない」を目指す

こんにちは。ユキデンタルオフィスの小場です😀
当院では「痛くない・恐くない」この2つの「ない」歯科医院を目指しています。

「歯科医院が怖い」「治療は痛いから嫌だ」といった気持ちは、多くの人が抱いている、ごく当たり前の感情です。

歯の治療が怖いことは、たとえ大人であっても決して恥ずかしいことではありません。

実は私自身も歯科医師になる前は歯医者が怖くて「痛くない歯科医院があればいいのに」と、よく思ったものです。
だからこそ、患者さんの気持ちは大いに理解・共感できます。

そんな私だからこそ、歯科恐怖症の方を含めて一人ひとりと向き合い、快適な医療が提供できるように3つの具体的な取り組みをおこなっています。

歯科恐怖症対策➀ 徹底した事前のヒアリング

歯科医院に対して特にトラウマが強い方などは、歯科医師を目の前にすると緊張してしまい、言いたいことが言えないという方も多いです。

このような理由から、当院では問診票の段階で恐怖心を感じる方に、あらかじめ申告ができるようにしています。

その問診票をもとに、恐怖心の強い方には麻酔を伴わない治療から始めてみるなど、個々の治療方針を立てていきます。

また持病のある方などはお薬手帳を持参してもらい、万一当院で処方する薬と飲み合わせる薬の相性が良くない場合は、主治医と連絡を取り合って慎重な判断をおこなうケースもあります。

歯科恐怖症対策② 患者さんのご意向が第一

来院される患者さんのなかでは、セカンドオピニオンの方もいらっしゃいます。

なぜセカンドオピニオンしたのか、理由はさまざまですが、その根底のなかには「自分の気持ちを聞かれずに、流れ作業的に治療された」という気持ちを持って来院される方がすくなくありせん。

当院では治療のご予算や見た目のご希望などはもちろんですが、治療に対する不安や歯科医院に対する不信感のお気持ちまですべて受け止めますので、どうぞご遠慮なくお話しください。

歯科恐怖症対策③ できる限り痛みがないような配慮

誰でも痛いのは嫌ですし、嫌な思いをすれば敬遠したくなるのは当然でしょう。

当院では、物理的な痛みを解消してリラックスした状態で治療に臨めるように二段階麻酔法笑気吸入鎮静法を導入しています。

あまり聞き慣れない専門用語ですが、どのような治療法なのか?
詳しくは、次回以降のブログで解説いたしますね。

2021.02.15

ただの口内炎だと侮ってはいけない理由

なるべく神経を残す治療を心がけています

こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀

なかなか治らない口内炎に困った人は多いでしょう。

私は、もともと琉球大学医学部附属病院の歯科口腔外科に勤務していた経歴もあり、親知らずの抜歯を希望される方はもちろん、なかには「長引いている口内炎」が気になって来院される方がすくなくありません。

「口内炎など、我慢すれば勝手に治るものだ」と思っている方もすくなくありませんが、私が長年の臨床経験からぜひ皆さんにお伝えしたいことがあります。

それは「ただの口内炎だと思って侮るなかれ」ということです。

口内炎は「2週間」がキーポイント

結論から言うと、2週間以上長引いている口内炎や1cm以上の大きな口内炎は注意が必要な場合があります。

なぜ注意が必要なのかと言うと、口内炎(口腔粘膜疾患)の背景には、非常に多くの病変が潜んでいる可能性があるからです。

口腔粘膜疾患は、大まかに言うと3つのパターンに分類できます。

①あくまでお口のなかに限られた病変で、投薬や生活習慣の改善などで治癒する

②全身疾患の部分的な症状として口腔粘膜に症状をあらわすケース
例)手足口病・ヘルパンギーナ・ベーチェット病など

③悪性腫瘍のケース

来院される患者さんのなかでもっとも多いケースは➀ですが、②のケースもすくなくありません。
そして上記のなかで、もっとも用心するべきは③の悪性腫瘍の場合であり、これが「口内炎を甘く見てはいけないよ」というメッセージにつながります。

定期検診では粘膜部分まで細かく診てもらうことが大切

お口のがん発生頻度は、がん全体の1〜3%程度と決して多くありませんから、一般の方にはあまり認知されていないのが口腔がんの現状です。

しかし、他のがんと違うところは「患部を直接見られる」ことです。
つまり口腔がんは比較的、早期発見しやすいがんと言えます。

お口のなかは食べ物や入れ歯などで刺激に晒されて汚れやすい部分なので、容易に感染を起こしやすいです。
また、本来の典型的な形で病変が現れず、むしろさまざまな変化を起こした状態であらわれる場合が数多くあるのが口内炎の特徴と言えます。

このような特殊性からユキデンタルオフィスでは、通常の歯科検診から粘膜部分までていねいに検査して、良性・悪性の見極めをおこなうことで、わずかな変化を見逃しません。

万一、なにか疑われるようであれば、すぐに専門機関へ紹介できるパイプの太さも当院の強みです。

2020.12.21

歯科治療の料金は?保険診療における治療費の目安

保険診療の費用が分からない」とご不安な方も多いと思います😅

当院では患者さんに対して医療費の透明性を上げる努力をしております。
各治療ごとの目安は下記の通りとなります。

保険診療における治療費の目安
診療の種類 診療内容 金額の目安
初診料 初回診療の際にかかる費用です 2,600円
再診料 診療ごとにかかる費用です 490円
(再診1回につき)
レントゲン お口全体を撮影する大型のもの、お口の一部を撮影する小型のものがあります 大型4,020円
小型480円~580円
レジン治療 歯と同じ色をした詰め物をする治療です。詰める大きさによって費用が異なります 2,390円(単純なもの)~3,090円(複雑なもの)
CAD/CAM冠 歯と同じ色をした被せ物をする治療です。場所によって保険が適用されます 8,400円+材料代
(材料代は2,106円~2,590円)
金属の詰め物 むし歯を削った後、型を取って作る詰め物(銀色)の費用です 5,900円(単純なもの)~8,060円(複雑なもの)
金属の被せ物 神経の治療を終えた歯に土台を立て、強度を高めるために、被せ物(銀色)をします 9,940円(小臼歯)~11,130円(大臼歯)
義歯(総入れ歯) 歯を失った部分に入れる取り外し可能な歯です 32,410円
(上下片方)
神経を抜く治療 むし歯が進行すると、神経を取る治療が必要になる場合があります 2,280円~5,880円
(治療部位による)
抜歯 抜く歯の場所や状態、方法によって費用が異なります 1,500円(単純な抜歯)~11,500円(難しい抜歯)
動揺歯の固定 揺れている歯を隣の歯と固定することで、揺れを抑える治療方法です 2,000円(一般的な処置)
5,000円(外科的な処置)
歯周病の検査料 歯周病治療の病状判定のためにかかる費用です 2,000円(標準検査)
4,000円(精密検査)
歯周病の管理料 歯周病治療のための、永続的なお口の管理をさせていただく費用です 1,100円
(月1回)
歯石除去 歯石除去の際には、事前に検査が必要になりますので、検査料も別途かかります 660円
(お口全体の1/6部分につき)
歯科衛生士による指導処置料 歯科衛生士による歯磨き方法の指導、お口の中の管理指導などの費用です 800円
(月1回)
歯周病の初期治療 歯周病の初期に、1歯ずつ歯の根の部分にまで及ぶ歯周病治療を行う費用です 600円~720円
(1歯につき)
2020.09.11

当歯科医院が取材を受けました

先日、当歯科医院がドクターズファイルの取材を受けました😀
当院のコンセプトを紹介いただいておりますので、宜しければご覧ください。

>>ドクターズファイル記事

2020.08.31

むし歯治療のトラウマをなくすために心がけていること

なるべく神経を残す治療を心がけています

こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀
むし歯治療をおこなう際に「キュイーン」という、あの耳ざわりな音・・・。

子どもはもちろんのこと、大人の方であっても決して気持ちのよい音ではありませんよね。
想像しただけで恐怖心がよみがえってくる方も、なかにはいらっしゃるのではないでしょうか。

患者さんが歯医者で感じる「恐怖心」の根底には2つの原因があると思っています。
1つ目は「肉体的な痛みからくるもの
2つ目は「精神的な理由によるもの」です。

ユキデンタルオフィスでは、恐怖心の根元の問題である痛みやトラウマを取り除いて、歯医者へ向かう足取りをすこしでも軽くしたいと常に考えています。

幼少期の歯科トラウマは生涯に渡って記憶に残るもの

むし歯治療で特に注意を払わねばいけないのは小さな子どもさんです。

なぜならば、子どものときの「歯医者さんで痛いことをされた!」「無理やりおさえつけられた」といった記憶は、生涯に渡って根深く残るからーー
そう確信したのは、長年の臨床経験によるものです。

大人の患者さんのなかでは、重度のむし歯を長期間に渡って放置しており「もう抜歯するしか為す術がない」と思えるほどになってから来院される方もなかにはいらっしゃいます。

そのなかで「子どものころに歯医者でひどく痛い思いをしたから、ずっと歯医者を懸念していた」という幼少期の苦い経験を打ち明けてくれる方はすくなくありません。

しかし、こういった方がわざわざ重い腰を上げて当院に来てくれたのに、すでにむし歯の進行が進みきっているので、効率的な治療を施すのが困難になるのです。
典型的な悪循環ですよね・・・。

もっと早く来てくれれば、痛みも治療期間もすくなくなるのに・・・。
歯科医師として、いつも悲しい気持ちになります。

そういった背景から、私は「小さな子どものときから歯医者へのマイナスイメージを与えてはいけないのだ」と痛感しているのです。

子どもの治療に対する当歯科医院の考え

ユキデンタルオフィスでは、子どもさんのやる気を引き出して「治療としっかり向き合える環境作り」を重視しています。

(大人でもそうですが)だいたいの子どもさんの場合は、1回ですべてのむし歯治療は終えられないと思っていただいた方がよいです。

要するに何回か通院が必要となるので、初歩的な段階から恐怖心を与えてしまっては、治療のゴール(むし歯完治)が遠のいてしまいます。

お子さんの治療は「決して焦らず、ゆっくり段階を踏んで治療を進めていくこと」が肝になってきます。急がば回れ、なのです。

例を挙げると

・初診時はむし歯に使う器械に慣れてもらうだけで終わらせる
・初期段階の簡単なむし歯の治療からはじめて「思っていたよりも痛くない」「これなら我慢できる」を実感してもらう
・麻酔を使用した上級者向け治療はあえて後からおこなう

こういった工夫で徐々に、お子さんの自信と信頼関係を育てていきます。

ユキデンタルオフィスでは妊婦さんからご高齢の方、すべての世代に安心して通っていただける取り組みに今後も努めて参ります。

2020.08.15

むし歯が発生するしくみとリスク

こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀
今回は「そもそもどうやってむし歯になってしまうの?」といった原因論についてと、むし歯治療をおこなった「そのあとのリスク」に関してもお答えしていきます。

むし歯になるしくみとは

むし歯が発生してしまう第一の原因は「むし歯菌(ミュータンス菌)が出す酸」によるものです。
ミュータンス菌は、食物に含まれる糖質をエサにして酸という糞のようなもの(代謝物)を出して、その酸によって歯が溶かされて穴が開いてしまう状態を作り出します。

歯は酸性環境に対して非常に弱いので、むし歯菌によってお口のなかが酸性状態になり続けると、歯が溶けてくるというわけです。

そのほかにも、むし歯は「環境的素因」と「遺伝的素因」の2つが大きく影響していると考えられていますので、むし歯を予防していくためには、この2つが重要なキーワードとなってきます。

環境的要因……むし歯菌が滞在している時間や糖質の多い飲食物を召し上がる

遺伝的要因……生まれ持った歯の質やだ液量、歯並びなど

などが挙げられます。

歯周病菌とむし歯菌の違い

ちなみに、以前のブログ「歯周病が発生するしくみとリスク」でも歯周病のしくみについてお伝えしたのですが、歯周病菌とむし歯菌に関して大きく違うところが1つあります。
皆さん、分かりますか?

それは、むし歯菌は「細菌そのもの」が悪さを起こして歯が溶けてしまうのに対して、歯周病菌は、細菌から逃れるために歯が防御反応を起こした結果「自らが」顎の骨を溶かしてしまう、という点。

歯や顎の骨に対して悪さを働くという点においては一緒なのですが、根本的な作用はまったく違うのです。

少々、難しいクイズでしたね😅

むし歯を治したあとのリスクとは

むし歯の部分を削ったあとの歯はプラスチックや金属の詰め物、神経を取った歯に対してはかぶせ物を装着します。
しかし、治療すればずっとむし歯にならず安心だ、というわけではないのです。

「なぜ治療した歯がむし歯になってしまうのだ」といった声が聞こえてきそうですが、残念ながら、これは人工物の宿命です。

歯とかぶせ物の間には月日を追うごとに微細な「すき間」があらわれ、すき間から二次的なむし歯になることがあります。

また、詰め物の材質によっては天然歯よりもプラーク(汚れ)がつきやすく、神経を取った歯は痛みこそ感じないものの、栄養源の補給ができない状態にあるので非常にもろく、歯が割れるリスクが高まってしまうのです。

ユキデンタルオフィスでは、むし歯を治したあとのリスクについてもしっかりと説明し、患者さんに最適なかぶせ物や詰め物の提供に努めています。

2020.07.30

歯石除去は自分でできるのか?

こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀
ときどき、患者さんから「歯石除去を自分でやっている」と言われることがあります。
患者さんとしては「歯の汚れを取るだけで、わざわざ歯医者にかかりたくないから自分でやってしまいたい」といったお気持ちなのでしょう。

しかし、本当に歯石は自分で取れるのでしょうか?
結論から言いますと、自分で歯石を取る行為は、メリット以上にリスクが多過ぎるので決しておすすめはできません!

部分的な歯石除去だったら自分でもできる?

通販サイトを確認すると、実際に私たちが現場で使用しているものに近い手用スケーラー(手で歯石を取る器具)が販売されていましたので、医療従事者でなくとも手に入りやすい世の中になってしまっているのが現状です。

こうなれば、患者さん側としても「自分でも歯石は取れるのでは?」と思ってしまっても無理はないでしょう。

たしかに、下の前歯など鏡で確認しやすい箇所であれば、手先の器用な方でしたら自身でもおこなえるでしょう。
しかし、あくまで「ごく一部の歯石除去」しかできません。
歯石は自身で確認ができない箇所にこそ、たくさん付着している可能性があるのです。

自分で歯石除去をおこなったときのリスク➀

歯石は、とくに付着しやすい箇所があります。
それは「下の前歯の裏側」と「上の奥歯のほっぺた側」。

なぜ上記の場所にたまりやすいのかというと、歯石は歯垢がだ液の成分と固まり石のような硬さの「歯石」になるので、だ液が多く分泌されているところに、よりたまりやすいから。

ほかにもブラッシングのときに出血した歯は歯周病の可能性があり、歯石が付着しているケースが十分に考えられます。

要はどの場所であっても歯石は付着するので、鏡で見えるところだけ歯石除去をしても、残念なことにあまり意味はないのです。

ちなみに、歯科医師である私自身でも(下の前歯の歯石を取るのならまだしも)上の奥歯の歯石を取ることは到底不可能です。

自分で歯石除去をおこなったときのリスク②

自身で歯石除去をおこなったときの、もう一つの大きなリスク。
それは「中途半端に歯石を取ると、さらに歯石がたまる環境を作り出す恐れがある」ということ。

「せっかく歯石を取ったのに、またすぐに歯石がつく」とは、一体どういうこと?と感じた方もおられるでしょう。

実は、歯石や歯周病菌はデコボコしている面により付着しやすい性質を持っているのです。

自分で歯石を取れたとしても、完璧に取り切ることはまず難しいでしょうから、かえって歯の凹凸を作り出してしまい、さらに歯周病菌が付着しやすい悪循環を自ら生み出してしまう場合があります。

歯石を取ったあとは、どうしても歯面が粗造になります。
ユキデンタルオフィスの予防処置では、歯石を取ったあとは専用の研磨剤を使用して、ていねいに磨き上げ歯の表面を滑らかな状態にして、歯石の再付着を予防します。

2020.07.17

歯周病菌は人から人へうつるのか

「私のお口のなかにある歯周病菌は、子どもに感染するのでしょうか」――まだ小さなお子さんがいる保護者の方からこういった質問をよく受けます。

結論を言いますと、歯周病菌は細菌の一種ですので、世間を賑わせている新型コロナウイルス菌と同様に人から人へ感染します。

生まれたての赤ちゃんに歯周病菌はいない

歯周病菌やむし歯菌は、親子間や夫婦間など家族関係から感染する場合が多いです。
つまりリスクファクターは「日常的に濃厚接触をせざるを得ない方」となり得ます。

考えてみると、生まれたての赤ちゃんに歯周病菌やむし歯菌はいませんよね。

歯周病菌やむし菌は、だ液のなかに潜んでいるので、たとえば「キスをする」「近い距離で話しかける」「食器を共用する」などといった行為や習慣から感染すると考えられています。

何歳ごろに歯周病菌をうつされるのか

では、歯周病菌は一体いつ頃のタイミングでうつされているのでしょうか。
小学生くらい?それとも成人してから?

実はさらに前の段階、なんと「よちよち歩き」のころから歯周病菌やむし歯菌をうつされている可能性があります。
(「感染の窓」といって、1歳7カ月前後に感染のピークを迎える時期と言われています。)

また、1歳を過ぎたころと言えば、多くのお子さんが離乳食の時期が終わる時期でもあり、幼児食へ移行する時期です。

このころには食べられるメニューも増えていますし、保護者のなかには大人と同じお菓子・味付けで食べさせている方もいらっしゃるようです。

こういったさまざまな生活背景があり、結果的にお子さんがむし歯になってしまうわけですね。

「うつされる」と「感染する」は違う

このような話を聞くと「スキンシップは控えるべきなのか」と思われるかもしれません。

しかし、小さなお子さんへのスキンシップは親子間の愛着関係と非常に深い結びつきがありますので「木を見て森を見ず」の状態になりかねません。

わかっていただきたいのが、歯周病菌がお口のなかに入ってきたとしても、歯周病菌単体であれば悪さを起こさないということ。

歯周病が爆発的に増殖すること(=感染)が問題なのです。

つまり、歯周病菌がお口に入ってきたとしても、それ自体を恐れる必要はなく、増殖できる環境でなければ歯周病は発症しません。
>>「家庭でできる歯周病予防とは」

お子さんのいるご家庭へ向けたアドバイスとしては「食器の共有などは止めた方がベターですが、スキンシップ自体は減らさないでも大丈夫」とお伝えしたうえで「家族すべての方にむし歯菌・歯周病菌を減らす努力を心がけていただくことも忘れないように」と、付け加えています。

歯周病菌を減らす具体的な対策は

・3カ月ごとのメンテナンスを受けて歯のクリーニングを受けていただく
「予防歯科(むし歯・歯周病・粘膜疾患の予防)」

・正しい歯磨き方法で毎日ブラッシングする

・キシリトール配合のガムなどを毎日召し上がっていただく

これらの心がけで歯周病菌・むし歯菌を減らす対策をしていれば、さほど神経質にならなくても心配はいりません😀

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